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ECにおけるアップセルとは?LTV向上になぜ重要かを解説
ECにおけるアップセルとは?LTV向上になぜ重要かを解説

ECにおけるアップセルとは?LTV向上になぜ重要かを解説

Updated At:
Jan 3, 2024

はじめに

アップセルはECビジネスにおいて、売上や顧客満足度、そして顧客生涯価値(LTV)を大幅に向上させることができる強力な戦略です。この記事はLTV向上に取り組むECマーケティング担当者の方にむけて、「アップセル」の位置づけや、その概要について解説します。

アップセルとは?

アップセルの定義

アップセル(Upselling)とは、顧客が購入した・しようとしている商品に対して、より多くの、もしくはより価格の高い、プレミアムなバージョンを購入するよう顧客に促すことです。アップセルの主な目的は、平均注文価格を上げ、それによってビジネスの売上高を増やすことです。

アップセルとクロスセル(Cross-selling)の違い

アップセルとクロスセルは、平均注文価格を上げるという共通の目的を持っていますが、アプローチが異なります。アップセルは、同じ商品系統でより価格の高い商品を提供することに焦点を当てます。一方、クロスセルは、一般的にはある商品と補完的な商品を販売することを目的としています。たとえばコーヒーのストアにおいて、より大きなコーヒーの袋を提供することがアップセル、コーヒーフィルターやマグカップを提案することがクロスセルに該当します。

クロスセルについては下記の記事をご参考ください:

ECビジネスにおけるアップセルのメリット

アップセルにはECビジネスにとって、一般的に以下のようなメリットがあります。

客単価・売上の増加

顧客がより価格の高い商品やパッケージを購入すると平均注文金額が上がり、全体としての売上の増加が見込めます。アップセルは平均的に、売上高を10〜30%増加させることができると言われています。

顧客満足度の向上

アップセルによって高品質の商品を提供できれば、顧客満足度やロイヤルティを高めることができます。さらに、顧客の前回の購入履歴、閲覧履歴に基づいて顧客のニーズや好みにより適した商品提供することができれば、顧客が個別感や特別感のあるレコメンドを受けていると感じ、ブランドに対する満足度が高まることも期待できます。

高いコスト効果

アップセルは、新規顧客を獲得するよりも68%もコストが抑えられると言われています。近年、新規顧客を獲得するための広告費用は高騰を続けていますが、既存顧客に対するアップセルに焦点を当てることでマーケティングの投資収益率(ROI)を最大化することができます。

在庫管理への好影響

アップセルの対象となるような高価格帯の商品は、在庫の回転率があまり良くないケースがあります。在庫が滞りがちな商品をうまくアップセルすることができれば、在庫状況を改善することにもつながります。

なぜアップセルはECのLTV向上に重要なのか?

ECの顧客生涯価値(LTV)は「平均注文金額」「購入頻度」「顧客寿命」といった要素に分解することができます。

この中でアップセルは、「平均注文金額」を直接的に増加させることでLTVの向上に寄与する、とても重要な施策であるといえます。さらにアップセル提案をとおして顧客満足度を向上させることができれば、「顧客寿命」の要素にも好影響を与えることができると言えるでしょう。

LTVについては、こちらの記事で詳しく解説をしています:

ECビジネスにおけるアップセルの例

アップセルをECビジネスに適用する例を紹介します。

“Buy 1 Get 1” 1つ買うと2つ目を割引購入できる

“Buy 1 Get 1”のオファーは、顧客が同じ商品をより多く購入するように提案することができます。たとえばアパレルECが、最初のジーンズを定価で購入した顧客に対して、2本目のジーンズを割引価格で提供することが考えられます。ジーンズのように複数枚あっても困らないような特性の商品がアップセルに向いていると言えるでしょう。

商品のより高付加価値な限定バージョンを提供する

たとえば人気商品の限定版バージョンをリリースする方法があります。ブランドのファンである顧客であれば、限定商品を積極的に購入することが期待でき、客単価の増加が見込めます。

ECにおけるアップセル実施のポイント

ECビジネスにおいてアップセルを効果的に実施する際のポイントをいくつかご紹介します。

アプリやプラグインを使用してプロセスを簡素化する

Shopify、WooCommerceなどのECプラットフォームは、アップセルのプロセスを容易にするためのアプリやプラグインを提供しています。これらのツールを活用することで、アップセル提案の作成や管理、パフォーマンスの追跡やレコメンドの自動化ができます。これらのリソースを活用することで、少ない手間でアップセルを実装し、効果を高めることができます。

アップセルアプローチを個人に合わせてカスタマイズする

顧客一人一人の好みに合ったアップセルの提案は、顧客の反応も良くなることが多いです。閲覧履歴、前回の購入履歴などを活用して、たとえばその顧客が何度も購入をしてくれている商品に絞ってアップセルの提案を行うといった方法が考えられます。個々の顧客に合わせたアップセル戦略を立てることでコンバージョン率の向上が期待できます。

ストレスフリーなユーザーエクスペリエンス(UX)を確保する

アップセルのプロセスがスムーズで、顧客にとって迷惑にならないことが大切です。たとえば強引な画面遷移やポップアップウィンドウ表示ではなく、あくまで買い物体験をより良くする方向性でアップセルオファーを行うことが肝要です。

最も効果的なアップセル施策を見つけるためにA/Bテストを実施する

自社のストアに最も適したアップセル施策は何か?を判断するためには、実際にいくつかアップセル施策を打ってみてテストすることが重要です。複数のバリエーションのアップセルオファーを実施し、その結果をトラッキングすることにより、A/Bテストを実施してみましょう。

継続的に効果を測定し、改善する

アップセルキャンペーンは一度実施して終わりではなく、パフォーマンスを継続的に確認し、定期的に戦略を調整することが重要です。たとえば、コンバージョン率や平均注文額などをKPIとしてモニタリングを実施しましょう。

まとめ

アップセルは、LTVを向上させたいEC企業にとって強力な戦略です。顧客により高い価格で・より良い商品を購入してもらうことで、足元では平均注文金額の増加によりLTVの直接的な増加が期待できますし、さらにアップセル提案をとおして顧客満足度を向上させることができれば「顧客寿命」の要素にも好影響を与えることができます。

自社にどのようなアップセルが適しているか?を判断するためには、実際に複数のアップセル施策を実施してみてA/Bテストを行ってみるのが実践的なやり方です。アップセル施策は打ちっぱなしではなく、効果を継続的に測定して改善していくことが大切です。

記事中のデータの出典:

https://www.forentrepreneurs.com/2015-saas-survey-part-1/

Author
ECPower プロダクトマネージャー

この記事は顧客セグメント管理・ジャーニーインサイト"ECPower"のプロダクトマネージャーが執筆・監修しました。記事の内容はShopifyをはじめとしたEC事業者向けのLTVグロースやCRM支援、データ分析の知見や実績に基づきます。

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