ECビジネスにおいて購買サイクルを理解することはとても重要です。ECPowerではセグメント単位のメトリクスとして再購入日間隔の全体平均値を記録していますが、平均値だけでなくその分布を把握することは、より細かいマーケティング施策の調整や「離脱リスク顧客」の特定をする際に役立ちます。
再購入日間隔とは
再購入日間隔は、各顧客の複数注文間の平均日数です。「購買サイクル」と表現することもできます。
このメトリクスは顧客のライフサイクルについての分析である「RFM分析」にあたって重要な役割を果たします。
RFM分析は顧客の購買行動を、Recency(直近の購入からの経過日)、Frequency(購入回数)、Monetary(合計購入金額)という3つの主要要素に分解します。これらの頭文字を取ってRFMという呼称が広く使われています。
直近購入日からの経過日数をRecencyの数値として利用して「アクティブ顧客」「離脱リスク顧客」「離反顧客」などと分類をしていきますが、その際の閾値となる日数を決めるうえでも重要な役割を果たします。たとえば再購入日間隔の平均値までの顧客を「アクティブ顧客」、~平均値の2倍の日数までを「離脱リスク顧客」、それ以上経過した顧客を「離反顧客」とするなどの方法があります。※この手法はあくまで一例であり、ストアの実態や商材の特性に合った日数を決めることが重要です。
さらに「再購入日間隔」は、実質的に「購入頻度」をあらわすメトリクスでもあります。たとえば「再購入日間隔/30日」の数字は、顧客が1か月あたりに何回購入を行うかという頻度に読み替えることができます。
再購入日間隔は合計購入回数2回以上のリピート顧客に対して定義されます。合計購入回数1回の顧客は計算対象外です。
「平均再購入日間隔別の顧客分布」レポートとは
⏲️ 平均再購入日間隔別の顧客分布
セグメントの顧客の再購入日間隔がどのように分布しているか、ヒストグラム形式で確認してみましょう。平均値や中央値、最大値が表示されているので、あわせてチェックしてみてください。
平均値が中央値よりもかなり高い場合は、一部の平均購入金額が高い集団が、全体の平均を押し上げている可能性があります。たとえば「RFMセグメントのRの閾値」を設定する際などは、平均値よりも中央値を参考にしたり、設定しようとしている値が全体分布のどの部分に該当するかをヒストグラムでチェックするようにしてください。
注:顧客セグメントに所属するそれぞれの顧客の再購入日間隔を、デシル(10等分)に分けたレンジ(x日~y日)が自動で作成されます。データの正確性を担保するために、上位・下位5%のデータを除いたうえでレンジを作成しています。これはあくまでレンジ作成のために行う操作で、顧客数のカウントには影響しません(レンジ作成時に除外された顧客についても、レポート上では最上位・最下位のレンジでカウントされています)
なぜ「平均再購入日間隔別の顧客分布」レポートが重要か
セグメントごとの購買サイクル:同じストアの顧客であっても、ニーズや購買行動の異なるセグメントは、それぞれ異なった購買サイクルである場合があります。セグメントごとに再購入日間隔の分布を知ることで、それぞれの顧客にとって最適なコミュニケーションのタイミングを理解することができ、早すぎる、または遅すぎるタイミングでコミュニケーションしてしまうことを避けることができます。
RFM分析におけるリスク評価:RFM分析では、顧客が「離脱リスク」と判断される閾値を適切に定義することが重要です。このレポートを活用することで、再購入の可能性が低下し始める時期を把握でき、より正確な閾値を設定できます。
活用例 - おすすめの顧客セグメント
「平均再購入日間隔別の顧客分布」レポートをどのような顧客セグメントでチェックするとよいか、いくつか例をご紹介します。
- キャンペーン対象の顧客セグメント:購買サイクルを活用して、顧客にアプローチすべきタイミングを微調整します。直近購入日からの日数に基づいた条件を追加して、前回の購入からあまり時間が経っていない顧客や、逆に長期間購入が少ない顧客をキャンペーン対象から除くことで、マーケティング施策の投資対効果を最大化することができます。
- リピートまたはロイヤル顧客セグメント:購入回数が多い顧客が、実際にどのようなサイクルで購入を行っているのかを理解することができます。
「平均再購入日間隔別の顧客分布」レポートを最大限に活用することで顧客の好みやニーズに対する理解を深め、集客施策やリピート施策を改善し、お客さまに寄り添ったコミュニケーションを実現しましょう。ぜひレポーティングのための単なる数値としてだけでなく、顧客理解を深めるために活用してみてください。