新規集客に注力しているECストアにとっても、CRMなど既存顧客向けの施策に注力しているストアにとっても、顧客がどのような経路でストアを訪れているのかを理解することはとても重要です。特にUTMパラメーターを利用した追跡方法はユーザーの利用環境の影響を受けにくくより正確なデータを得ることができます。この記事では「最も顧客数の多いUTMパラメーター」レポートの活用方法について解説します。
「最も顧客数の多いUTMパラメーター」レポートとは
Shopifyで確認できるUTMパラメーターについて
UTMパラメーターはURLの末尾に付け加えることができるコードで、オンラインマーケティングにおいてキャンペーンやメディア経由などのトラフィックを追跡するにあたって重要な役割を果たします。ユーザーがUTMパラメーターのついたURLをクリックしてサイトを訪問すると、サイト側でパラメーターを記録することができます。多くの場合、Google Analyticsなどのサイト分析ツールを利用してデータを記録・確認することができますが、Shopifyストアであれば、ShopifyのプラットフォームでUTMパラメーターが記録されています。ECPowerはShopifyが記録しているデータを読み取って集計や分析に使用します。
UTMパラメーターにはいくつかのバリエーションがあり、組み合わせて使用します。ECPowerで参照できるパラメーターは以下のとおりです。
- utm_source: 'Google', 'Facebook'やメールプラットフォームなどの流入元を設定します。リピートマーケティングで利用されるメールマーケティングツールの場合、'klaviyo'などのプラットフォーム名もしくは'newsletter'などがツール側で設定されるケースが多いです。
- utm_medium: マーケティングの媒体や形式を指定します。たとえば広告であれば、'cpc' (検索広告), 'display' (バナー広告), メールマーケティングでは'email'などが指定されることが多いです。
- utm_campaign: 実際のマーケティングキャンペーンを一意に特定するために利用します。たとえばメールマーケティングであれば、yyyymmddなどの配信日を指定したり、welcome-couponなどの施策の内容や目的を指定することができます。あとから分析する際に分かりやすいように命名規則を作るとより良いです。
UTMパラメーターを指定した実際のURLの例:
https://example.com/?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20230101
📢 「UTMパラメータ」別 全体での人気度(%) 【顧客数比率】
顧客セグメントの中で、どのようなUTMパラメーターが人気なのかについての基礎的なインサイト得ましょう。
たとえば以下の例では、「24SSリピーター顧客セグメント」内においては8割以上というかなり高い比率の顧客が'UTM medium: campaign-email'経由で購入したことがある、というインサイトを得ることができます。
これを応用することで、たとえば「直近1か月の新規顧客」「購入回数が多いロイヤル顧客」などのセグメントで、どのようなUTMパラメーターが人気か?ストア全体のデータと比べて特徴的な部分はあるか?といった観点から集客経路についての分析を行うことができます。
テーブル形式で表示すると上位100項目までのデータを表形式で確認でき、CSVでデータをダウンロードできます。
📢 「UTMパラメータ」別 4月、5月、...の購入者数の推移 【月次集計】
UTMパラメーターごとに各月に何人の購入者がいたかの推移を、顧客セグメントごとに把握しましょう。
たとえば以下の例では 'flow-email'からの購入が2024年5月に跳ねていることがわかります。どのような要因でデータの変動が起きていたかを推測する手がかりとして活用してください。
テーブル形式で表示すると上位100項目までのデータを表形式で確認でき、CSVでデータをダウンロードできます。
📢 「UTMパラメータ」別 初回、2回目、...での購入者数 【次数別集計】
それぞれの顧客にとっての初回、2回目、3回目の購入、または2回目以降のすべてのリピート購入において、どのUTMパラメーターを選んだ人が多かったかについてのインサイトを得ましょう。
たとえば以下の例では、'display'および'cpc'経由のセッションから購入した人数を、初回・2回目以降、2~4回目といった観点で比較しています。初回は'display'経由で購入した顧客が多いですが、2回目以降の購入で'cpc'から購入している顧客が一定いることに注意が必要です。
テーブル形式で表示すると上位100項目までのデータを表形式で確認でき、CSVでデータをダウンロードできます。
ちなみに、応用編として、このインサイトを「初回購入時のUTMパラメーター」に基づく顧客セグメントでフィルタする場合の分析例をご紹介します。
・「2回目」の列を見ることで、初回にUTMパラメーターXで購入した人が、2回目を購入する際に人気だったUTMパラメーターは何か?が分かります。
📢 「UTMパラメータ」別 1回だけ購入 vs リピート購入した顧客 【件数別集計】
顧客セグメント内で「リピーターの割合が多いUTMパラメーター」についてのインサイトを得ましょう。それぞれのUTMパラメーターの、1回だけ購入した顧客の割合と、2回以上購入した顧客の割合を比較することができます。
たとえば以下の例では、それぞれのUTMパラメーターでゴールドの色がついている部分が'1回のみ購入した顧客の占める割合'、それより右側が'2回以上購入した顧客の占める割合'を示しています。'newsletter'経由のセッションから2回以上利用している顧客が比較的多く、リピーター顧客によく使われるキャンペーンであることがわかります。
テーブル形式で表示すると上位100項目までのデータを表形式で確認でき、CSVでデータをダウンロードできます。
なぜ「最も顧客数の多いUTMパラメーター」レポートが重要か
新規集客に注力しているECストアにとっても、CRMなど既存顧客向けの施策に注力しているストアにとっても、顧客がどのような経路でストアを訪れているのかを理解することはとても重要です。特にUTMパラメーターを利用した追跡方法は、「最も顧客数の多い流入元」などで表示されているセッションベースでの追跡に比べると、ユーザーの利用環境の影響を受けにくくより正確なデータを得ることができるメリットがあります。初回購入とリピート購入のそれぞれに対して、どのようなメディアやキャンペーンが貢献しているのかについて理解することで、マーケティングキャンペーンの改善に繋がる示唆を得ましょう。
活用例 - おすすめの顧客セグメント
「最も顧客数の多いUTMパラメーター」レポートをどのような顧客セグメントでチェックするとよいか、いくつか例をご紹介します。
- 初回の購買行動に基づく顧客セグメント:たとえば初回購入商品や、初回の集客チャネル(UTMソース)別のセグメントで、2回目以降の購入におけるUTMパラメーターのレポートを確認することで、異なるニーズのセグメントごとにどのようなリピート施策が有効だったのかについて理解を深めることができます。
- リピート・ロイヤル顧客セグメント:現在のロイヤル顧客が、実際に初回・2回目以降でどのような経路で購入することが多いのかを理解し、新規顧客の集客やリピート施策にフィードバックしましょう。
「最も顧客数の多いUTMパラメーター」レポートを最大限に活用することで顧客の好みやニーズに対する理解を深め、集客施策やリピート施策を改善し、お客さまに寄り添ったコミュニケーションを実現しましょう。ぜひレポーティングのための単なる数値としてだけでなく、顧客理解を深めるために活用してみてください。