はじめに
ロイヤリティプログラムはECビジネスにおいて、売上や顧客満足度、そして顧客生涯価値（LTV）を大幅に向上させることができる強力な戦略です。この記事はLTV向上に取り組むECマーケティング担当者の方にむけて、「ロイヤリティプログラム」の位置づけや、その概要について解説します。
ロイヤリティプログラムとは？
ロイヤリティプログラムとは、継続的にサービスを利用、または商品を購入してくれる顧客に対して特典を与えるマーケティング戦略です。たとえば限定の商品購入や割引の機会であったり、様々なインセンティブを会員に提供することで、ブランドとの接点を強化し、リピート購入を促します。
ロイヤリティプログラムの主な目的は、顧客の継続率を向上させて収益を安定化し、競合他社との差別化を図ることです。
ECビジネスにおけるロイヤリティプログラムのメリット
ECビジネスにロイヤリティプログラムを実施することには、以下のようなメリットがあります。
リピート購入の増加
顧客のロイヤリティに対して明示的に特典を与えることで、継続的にブランドで購買するように促すことができます。例えば、ポイントベースのプログラムでは、顧客が購入するたびにポイントが蓄積され、これらのポイントを使用して次回の購入時に割引を受けたり、特典を得たりすることができます。
収益の増加
ロイヤリティプログラムは、よりよい報酬を獲得するためにより多くの購買をするように促すため、収益の増加につながります。さらに、ロイヤルな顧客は多少高くてもあなたのブランドを選ぶはずですので、競合他社が低価格を設定してきたとしても収益を守ることができます。
競合他社との差別化
同様に、上手に設計されたロイヤリティプログラムは、競合との差別化要素になります。たとえばユニークな報酬や、パーソナライズされた体験を提供することにより、ブランドとしての独自性を創り出すことができます。
顧客をファンに育成
ロイヤリティプログラムは、単に金銭的な特典を与えるだけでなく、顧客とブランドの間に感情的なつながりを作り出します。たとえば限定の特典や体験を提供することによって、満足感や特別感を感じてもらうことができれば、ブランドに対する愛着を持ってもらい、ファンになってもらうことに繋がります。
口コミの促進
顧客がブランドから価値を感じている場合、友人や家族を紹介する機会が生まれ、口コミの拡散につながります。ロイヤリティプログラムを上手に使うことで、顧客による口コミや共有を促し、少ないマーケティングコスト新しい顧客を獲得することができます。
なぜロイヤリティプログラムはECのLTV向上に重要なのか？
ECの顧客生涯価値（LTV）は「平均注文金額」「購入頻度」「顧客寿命」といった要素に分解することができます。この中でロイヤリティプログラムは、競合他社に流れずに継続的に購入を続けてもらう、つまり「顧客寿命」を長く維持することによって、LTVの向上に寄与する重要な施策であるといえます。
さらに顧客のロイヤリティが高まることで、口コミによるマーケティングコストの削減という副次的な効果も期待できます。
LTVについては、こちらの記事で詳しく解説をしています：
ECビジネスにおけるロイヤリティプログラムの例
ポイントプログラム
購入やSNSでの共有、プロフィールの登録、ニュースレターの購読など、さまざまなアクティビティにポイントを付与します。ポイントは割引購入や限定商品の購入に利用できるようにします。
有料プログラム
顧客は年会費を支払って、割引や送料無料、または特別なイベントなどの会員特典を享受できます。たとえばAmazon Primeは、有料のロイヤリティプログラムの成功例です。
階層型ロイヤリティプログラム
より良い特典を提供する階層型のメンバーシップレベルをつくり、ポイントプログラムと組み合わせることができます。たとえば航空会社のロイヤリティプログラムなどがイメージしやすいかもしれません。
ECでロイヤリティプログラムを実施する上でのポイント
ECビジネスでロイヤリティプログラムを実施する際に注意すべきポイントをご紹介します。
ロイヤル顧客のニーズを特定する
ロイヤリティプログラムを有効に活用するためには、まず自社ECサイトのロイヤル顧客の嗜好やニーズを理解する必要があります。顧客層を年齢、性別だけでなく、購入履歴やサイト閲覧履歴などの要素でセグメント分析して、ロイヤル顧客のニーズを深く理解することが重要です。
適切な種類のロイヤリティプログラムを選択する
ポイントプログラム、階層型プログラム、有料メンバーシッププログラムなど、さまざまな種類のロイヤリティプログラムがあります。それぞれの種類の利点と欠点を評価し、ビジネスモデルや顧客の好みに最も適したものを選択しましょう。
明確でシンプルな構造にする
ロイヤリティプログラムが理解しやすく参加しやすいように、複雑なルールや要件を避けることが大事です。簡単で透明性の高いポイントシステムや階層構造となるように設計しましょう。
魅力的な特典を提供する
顧客のニーズをしっかりと理解し、魅力的な特典を用意することが重要です。単なる割引だけではなく、送料無料、限定商品の提供、新商品への早期アクセスなど、さまざまなパターンが考えられます。顧客の心を動かし、他人に勧めたくなるような体験を提供することも重要です。
効果的に宣伝する
せっかくロイヤリティプログラムを作っても、顧客に利点を知ってもらえなければ活用してもらえません。メールのニュースレターやSNS、ECサイト上などのさまざまなチャネルを活用して宣伝することが大切です。
パフォーマンスを分析し、改善する
ロイヤリティプログラムの導入が目的化してはいけません。定期的にロイヤリティプログラムのパフォーマンスをモニタリングして、改善の余地を検討することが重要です。たとえば、顧客の継続率や平均注文金額、購入間隔や口コミの数などのKPIを計測・管理します。データを分析して改善を行い、ビジネス面での効果を最大化しましょう。
顧客の興味を維持するために、定期的に新しい特典を追加したり、顧客のフィードバックに耳を傾け、ロイヤル顧客にとって魅力的なプログラムになっているかを確認することも大切です。
まとめ
ロイヤリティプログラムは、リピート購入を促進し、顧客の継続率を向上させ、ブランドロイヤリティを高めることによって、ECビジネスのLTVを向上させる重要な役割を担っています。ぜひ、上記で述べたポイントを参考に、ロイヤリティプログラムを構築してみてください。
参考記事：
