ECの売上が思うように伸びない。
広告を出しても成果が出ない。訪問者はいるのに購入につながらない。せっかく買ってくれたお客様も、一度きりで終わってしまう。
多くのEC担当者や経営者が、日々この壁に悩まされています。
そして、こうした課題を解決しようと「新しい集客施策」や「最新アプリの導入」「CRMの改善」に取り組みます。
ですが、どれだけ頑張っても結果につながらないケースが少なくありません。
では、売上を伸ばすための本当の鍵はどこにあるのでしょうか。
結論から言います。
ECの売上を決定づけるのは「顧客理解」です。
売上は、
売上 = (集客 × 購入率 × リピート率) × 顧客理解
という「考え方の式」で表せます。
「顧客理解」というピースが欠けていると、どれだけ集客に力を入れても、購入率やリピート施策を工夫しても空回りしてしまう。
逆に、顧客理解があると、すべての施策が正しく機能し、売上は自然と積み上がっていきます。
この記事では、この「売れるECの方程式」をもとに、なぜ顧客理解がECの成否を分けるのか、そしてどうやって深めればいいのかをお伝えします。
ECの3つの要素
先ほどの方程式を、もう一度整理します。
売上 = (集客 × 購入率 × リピート率) × 顧客理解
まずは「顧客理解」以外の3つの要素を分解して見ていきましょう。
1. 集客|どれだけ多くの人に来てもらえるか
売上の出発点は「どれだけのお客様にサイトを訪れてもらえるか」です。
広告、SNS、SEO、オフラインからの流入など、手段はさまざまですが、共通するのは「お客様に見つけてもらい、サイトに来てもらうこと」。
どれだけいい商品を作って、いいサイトを作っても、買ってくれるお客さんが1人もいなければ商売は成り立ちません。
2. 購入率|来てくれた人のうち、何人が買ってくれるか
次に大切なのが「訪問者が実際に購入するかどうか」。
商品ページの分かりやすさ、カートの使いやすさ、配送や決済の安心感など、お客様が「ここで買いたい」と思える体験が整っているかが問われます。
小さな改善でも購入率は大きく変わり、売上に直結します。
3. リピート率|もう一度買いたいと思ってもらえるか
一度きりの購入で終わるか、それともリピーターになるか。
ここがECの利益を大きく左右します。
CRMやメルマガ・LINE・会員プログラムなどの取り組みは、すべて「次も買いたい」と思ってもらうための工夫です。
リピーターが増えると、広告に頼らずとも安定的に売上が積み上がっていきます。
これら3つの要素は、どれも欠かすことができません。
けれど実際には、「誰に届けるのか」「その人は何を求めているのか」が分からなければ、施策は的外れになってしまいます。
そこで最後に掛け算されるのが、顧客理解 です。
一番重要なピースは「顧客理解」
実は、売上をつくるための3つの要素である「集客」「購入率」「リピート率」だけをどれだけ頑張っても、成果が出ないケースが少なくありません。
なぜか。
その理由は 「顧客理解」が欠けているから です。
例えば、集客において、広告やSNS施策を展開しても、届ける相手を間違えれば意味がありません。
例えば、70代男性がターゲットなのにTikTokで広告を出しても効果は薄いでしょう。
逆に、10代女性にメルマガを送ってもほとんど読まれません。
顧客理解があると「顧客が普段いる場所」に正しくアプローチでき、同じ施策でも効果が何倍にもなります。
また、購入率を上げるには「この商品は自分のためのものだ」とお客様に感じてもらうことが不可欠です。
ターゲットが何を不安に思い、どんな情報を欲しがっているのかを理解していれば、商品ページの作り方も自然と変わります。
顧客理解があると「お客様が買いたくなる体験」を設計でき、購入率は着実に上がります。
そして、一度買ってくれたお客様に、もう一度戻ってきてもらうには「このブランドは自分を分かってくれている」と感じてもらうことが大切です。
顧客のライフスタイルや嗜好に合った提案をすることで、「次もここで買おう」という気持ちが生まれます。
顧客理解があると「また買いたい」と思ってもらえる接点を作れ、リピーターが増えていきます。
このように、顧客理解は単なる一要素ではなく、集客・購入率・リピート率のすべてを底上げする基盤です。
だからこそ、売れるECの方程式には必ず「顧客理解」を掛け算として入れなければならないのです。
そもそも顧客理解とは何なのか?
顧客理解とは、単に「ペルソナを作ること」や「データを集めること」ではありません。
「お客様は誰で、なぜ買うのか、どんな体験を求めているのか」を深く知ることです。
言い換えると、次の3つの視点を持てている状態を「顧客理解がある」と言えます。
1. 顧客像の理解|WHO
-
どんな属性の人が買っているのか
-
年齢、性別、ライフスタイル、価値観、消費習慣
例:30代共働き世帯の「時短ニーズ」か、10代の「流行を先取りしたい欲求」か
2. 動機の理解|WHY
-
その商品を「なぜ」買うのか
-
表面的な理由(価格・便利さ)だけでなく、感情的な理由(安心感・自己表現・社会的承認)を把握できているか
例:化粧品を買う理由は「肌に合うから」ではなく「自信を持ちたいから」
3. 文脈の理解(When / How)
-
どんな状況・タイミングで買うのか
-
どこで商品を知り、どう比較し、何が最後の一押しになったのか
例:「子どもが寝静まった夜にスマホで購入する」「インスタで知って、レビュー動画で確信してから買う」
つまり顧客理解とは、「人となり × 動機 × 文脈」まで把握すること。
これができていれば、施策は自然にお客様にフィットし、売上に直結していきます。
どのように顧客理解を深めればいいのか?
顧客理解を深めるために最も大切なのは、顧客の声を直接聞くことです。
データや数字も重要ですが、それだけでは「なぜ買ったのか」「どんな気持ちで選んだのか」といった本質にはたどり着けません。
しかし、ただ闇雲に顧客に話を聞けばいいわけではありません。
顧客の中でも特におすすめなのは、何度もリピート購入してくれている人です。
なぜなら、彼らはそのブランドの価値を一番よく理解している可能性が高いからです。
リピーターは、ブランドが提供している本当の価値や、他社と違う強みを自分の言葉で表現してくれる存在です。
そこには、事業者側が気づいていない「選ばれる理由」が隠されています。
そして、リピーターに話を聞くときに気をつけたいのが「質問の仕方」です。
「なぜ」と聞いてはいけません。
「なぜ買ったのか」「なぜいいと思ったのか」と尋ねても、人は理屈で説明できないことが多く、後付けの理由を並べてしまいます。
人の購買行動は感情や無意識に大きく左右されるため、本人自身も明確な理由を自覚していないことが多いのです。
そのため、代わりに 4W1H(いつ・どこで・何を・どのように・どのくらい) で質問をしていくと、本質的なインサイトが引き出せます。
-
「初めてこの商品を知ったのはいつですか?」
-
「購入を決めたのはどんな場面でしたか?」
-
「他の商品と比べて、どの点が良かったですか?」
-
「実際に使ってみて、どのように役立ちましたか?」
-
「どのくらいの頻度で使っていますか?」
このような質問をすると、顧客の行動や感情の具体的なシーンが見えてきます。
顧客理解を深めたいなら、まずは最もブランドを愛してくれているリピーターに話を聞くこと。
彼らの声は、施策に迷ったときのコンパスになります。
「なぜうちを選んでくれているのか?」を知ることができれば、
集客も、サイト改善も、リピート施策も、すべての精度が格段に高まります。
まとめ
ECの売上を伸ばすためには、
売上 = (集客 × 購入率 × リピート率) × 顧客理解
という方程式を意識することが欠かせません。
集客・購入率・リピート率は、どれも重要な要素です。
しかし、それらを最大化させるカギとなるのは 顧客理解 です。
お客様を深く理解できれば、施策の精度が高まり、売上は確実に積み上がっていきます。
もし今、売上に悩んでいるなら、
次のミーティングで「顧客」を主語にして話してみてください。
「どの施策をやるか」ではなく「顧客は誰で、何を求めているのか?」から始めるのです。
チームメンバーの誰がどう思うかではなく、「顧客がどう思うか」でやるべきことを考えてみてください。
チームの意見やトレンドではなく、顧客の視点を中心に置くこと。
それが、ECを成長させる最短ルートです。
顧客を理解できたとき、あなたのECは必ず成長します。