
顧客分析がめざすのは、突き詰めるとシンプルです。注文データから顧客の動機や嗜好を読み取り、最適な顧客に、最適なタイミングで、最適な訴求を届ける。そうやって、もう一度買ってもらう。
その出発点になるのが、注文データです。誰が、いつ、何を、いくらで買ったか。この記録を分析することで、顧客の姿を描いていきます。ただ、注文データだけではどうしても届かないところがあります。この記事では、そこをアンケートでどう補うかを整理します。
注文データだけでは見えない情報がある
注文データから分かるのは「何を・いつ・いくらで買ったか」、つまり顧客がやったことです。
その裏にある「誰が・なぜ買ったのか」までは、注文データには映りません。たとえば、その人の性別。何を決め手に選んだのか。誰のために、どんな場面で使うつもりで買ったのか。こうした情報は、いくら注文履歴を眺めても出てきません。
もちろん、購入商品や購入パターンから「たぶんこういう人だろう」と想像することはできます。けれど、それはあくまで想像です。想像で埋めているうちは、訴求の精度にも限界が残ります。最適な顧客に、最適なタイミングで、最適な訴求、と言っても、肝心の「その人が誰なのか」がぼやけたままだからです。
映らないなら、顧客自身に聞けばいい。それがアンケートの役割です。
性別、購入の動機、使うシーン、満足度。こうした注文データに表れない情報を、顧客に答えてもらって付け足していきます。注文データが行動の記録だとすれば、アンケートは本人にしか分からない情報を引き出す手段です。この2つが揃うと、顧客の輪郭がはっきりしてきます。
アンケートは取るだけでは意味がない
アンケートは、取った後のほうが大事です。
アンケートツールでフォームを作って回答を集め、管理画面の円グラフを眺める。ここで止まってしまうと、「へぇ、4割がInstagram経由なんだ」で終わります。それは情報ではありますが、まだ何も生んでいません。
アンケートが効果を生むのは、次の流れまでやり切ったときです。
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回答を、一人ひとりの顧客に紐づける
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回答内容で顧客をセグメントに分ける
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セグメント別に LTV・F2率・購入間隔などを分析する
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分かったことをもとに施策を打つ
ここまでやって初めて、アンケートは集めた声から動かせる資産に変わります。逆に言えば、紐づけと分析を飛ばしてしまうと、どれだけ回答を集めても円グラフ止まりです。
技術的な前提として、回答がShopifyの顧客(顧客タグやメタフィールド)に紐づいていることが欠かせません。回答がアンケートツールの中だけに溜まっていて、顧客一人ひとりと結びついていないと、セグメントが作れず、分析にも施策にも使えないからです。集計結果としてではなく、顧客に貼られたラベルとして残すことが必要です。
アンケートで聞く4項目
では、何を聞けばいいか。原則は、注文データからは想像できないことを聞く、ということです。注文データを見れば分かることを聞いても、ラベルとしての価値は生まれません。
聞くべきは、次の4項目です。
1. 購入動機
経路(どこで知ったか)と動機(なぜ買ったか)の2つに分けて聞きます。
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分類軸 |
質問 |
項目例 |
活用方法 |
|---|---|---|---|
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認知経路別 |
何で知りましたか |
Instagram・Google・友人紹介・店舗 など |
経路別に LTV/F2率 を比較し、高 LTV の経路に予算を寄せる |
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購入動機別 |
購入の決め手は何でしたか |
価格・成分・口コミ・デザイン |
動機別に育ち方を比較し、LP・広告の訴求軸を合わせる |
経路は注文データやUTMからもある程度わかりますが、何を決め手に選んだかという動機は、本人に聞くしかありません。経路によっても動機によっても、その後の育ち方は変わります。たとえば「成分で選んだ人」のリピートが強ければ、広告やLPの主役を成分の話に切り替える、という判断ができます。
2. 顧客属性
性別・年代・悩みの3つに分けて聞きます。
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分類軸 |
質問 |
項目例 |
活用方法 |
|---|---|---|---|
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性別 |
性別を教えてください |
男性・女性・回答しない |
性別別に LTV・購入商品 を比較し、主力ターゲットと訴求を定める |
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年代別 |
年代を教えてください |
20代・30代・40代・50代以上 |
年代別に LTV・AOV を比較し、世代に合わせて商品・クリエイティブを出し分ける |
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悩み別 |
お悩みは何ですか |
(スキンケアなら)シミ・しわ・毛穴・乾燥 など |
悩み別に購入商品・リピート率 を比較し、悩みに合った提案とフォローを設計する |
性別や年代は基本の属性ですが、何に悩んでいるかは本人に聞かないと分かりません。業種によっては、肌質・体質・家族構成・ペットの有無なども有効です。こうしたアンケートでしか取れない属性ほど、新しい発見につながります。「この悩みを持つ人はこの商品をこの周期で買っている」と分かれば、同じ属性の新規顧客にも先回りで提案できます。
3. 利用シーン
シーン(どんな場面で使うか)と頻度(どのくらいの頻度で使うか)の2つを聞きます。
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分類軸 |
質問 |
項目例 |
活用方法 |
|---|---|---|---|
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利用シーン別 |
どんな場面で使いますか |
普段使い・仕事・特別な日・ギフト |
シーン別に LTV/AOV を比較。普段使いはリピート訴求、ギフトは自家用への転換フォロー |
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消費ペース別 |
どのくらいの頻度で使いますか |
毎日・週数回・たまに |
申告された頻度と実際の再購入間隔のズレから、フォロー時期を見直す |
同じ商品でも、自分用の普段使いとギフトとでは、その後の動き方がまるで違います。また、申告された頻度と実際の再購入間隔を突き合わせると、「毎日使うと答えたのに再購入が遅い人」のような、フォロー時期を見直すべき層も見えてきます。
4. 満足度(NPS)
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分類軸 |
質問 |
項目例 |
活用方法 |
|---|---|---|---|
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評価層別 |
友人にどのくらい勧めたいですか |
0〜10(Promoter/Passive/Detractor に分類) |
評価層別に LTV/F2率 を比較し、高評価層にだけ口コミ・紹介を依頼。NPSと実購買のズレから「高評価なのに買っていない層」を見つける |
面白いのは、NPSと実際の購買を突き合わせたときです。「勧めたい」と答えたのに、実は買っていない層が見つかることがあります。満足度の数字だけを眺めていては気づけない顧客で、ここにこそタイミングや価格の壁が隠れています。
まとめ
アンケートは「取る」のが目的ではありません。紐づけて、分けて、分析して、打つ。ここまでやって初めて意味を持ちます。注文データのやったことと、アンケートの誰が・なぜを掛け合わせると、顧客理解が立体になります。想像の精度が上がり、最適な訴求に近づいていきます。
まずは1項目だけで十分です。いちばん聞きたいことをひとつ選び、回答を顧客に紐づけてセグメントを作り、LTVに差が出るかを見る。そこが最初の一歩になります。

