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店舗別セグメント分析

店舗を「売上の場所」から「ファン顧客を生む場所」へ

ECも店舗もやっている会社は多いと思います。ただ、分析になると「ECはECで」「店舗は店舗で」と分かれてしまっているケースをよく見かけます。

顧客から見れば、ECも店舗も同じブランドです。行ったり来たりしながら買い物をしているのに、運営側だけが分断されていると、見えるはずのものが見えなくなります。

もうひとつよくあるのが、店舗の売上ばかりを追いかけてしまうことです。売上はもちろん大事ですが、その数字の背後にいる顧客のことが抜け落ちてしまいがちです。

そこで今回は、店舗を顧客の視点で見直す方法として「初回購入店舗別セグメント分析」を紹介します。

店舗ごとのセグメントを作る

セグメントというと難しく聞こえますが、やることは単純です。「初めての購入を〇〇店でした人」というセグメントを、店舗ごとに作るだけです。

渋谷店なら「初めて買ってくれたのが渋谷店だった顧客」、新宿店なら「初めて買ってくれたのが新宿店だった顧客」。店舗の数だけセグメントができます。

なぜこれをやるかというと、店舗を「売場」ではなく「顧客との最初の接点」として捉え直すためです。最初に接した店舗は、顧客にとってブランドの第一印象を決める場所。そこからどんな顧客が育っているのかを、店舗ごとに見ていきます。

見るべき4つの指標

セグメントを作ったら、店舗ごとに次の4つの指標を見ます。

顧客数

その店舗が、何人の新規顧客を生み出しているか。立地や店頭の見え方、広告の効きなど、いわゆる集客力がここに出ます。

F2転換率

初回購入の顧客のうち、2回目の購入に至った人の割合です。1回で終わってしまうのか、もう一度足を運んでくれるのか。その店舗がリピートにつながる体験を提供できているかが見えます。

LTV(顧客生涯価値)

ひとりの顧客が、長期的にいくら使ってくれているかを示す金額です。LTVが高い店舗は、そこで初めて買った顧客が、その後もブランドにお金を使い続けてくれているということになります。短期の売上ではなく、長い目で見た価値がわかります。

平均購入回数

その店舗で初めて買った顧客が、平均で何回購入しているか。多いほど、継続的に関係が続いているといえます。

売上ランキングとのズレ

この4つを店舗別に並べると、売上ランキングとはかなり違う順番になることがほとんどです。

売上1位の店舗のF2転換率が下から数えたほうが早かったり、目立たない店舗が実はLTVではトップだったり。

これは矛盾ではありません。売上が高い店舗が、必ずしもファンを生み出しているとは限らない、ということです。立地が良くて通行量が多ければ、新規の顧客は自然と集まりますが、それがリピートにつながっているかどうかは別の話です。逆に、売上は中の下くらいでも、接客が丁寧で長く愛される顧客を育てている店舗もあります。

売上の数字だけでは、こうした違いは見えてきません。

課題別の打ち手

指標を見て課題が見えてきたら、次は何をするかです。ここで大事なのは、課題ごとに打つ手がまったく違うということ。「リピートが少ないから接客を頑張る」ではなく、何が原因かを切り分けて対応します。

課題となっている指標 考えられる原因 打ち手の方向性
F2転換率が低い 接客の質、初回体験 スタッフ研修、優秀店舗のプロトコル横展開
LTVが低い 入口商品の選定 「売れ筋」ではなく「育つ商品」を主役に陳列
EC再購入率が低い レジでのCRM接続 LINE登録・会員登録誘導フローの改修
30日F2率が低い 同梱物・お見送り 同梱物・サンキューカード改修
ロイヤル化率が低い 初回体験設計 試着・相談・体験プログラム
顧客生成数が少ない 集客力 立地・店頭・広告の見直し

たとえばF2転換率が低い店舗は、初回の接客体験に課題があるサインかもしれません。一方でEC再購入率が低いのなら、店舗の接客は良くても、その後デジタルにつなげる導線が弱い可能性があります。原因が違えば、やることも違ってきます。

月次でのモニタリング

この分析は、一度やって終わりにしないことが大切です。月に一度くらいの頻度で、店舗ごとのF2転換率、LTV、平均購入回数を追いかけていきます。

数値の変化を月単位で見ていくことで、打った施策が効いているかどうかが判断できるようになります。たとえば、F2転換率が低かった店舗で接客プロトコルを変えたあと、翌月以降に数字がどう動いたか。そういった因果関係が、定点観測することでようやく見えてきます。

逆に、一度きりの分析だと「今この店舗はどうなっているか」のスナップショットしかわからず、改善のサイクルが回りません。

経営軸の転換

月次で追い続けると、店舗を評価する軸そのものが変わってきます。

これまでは「今月いくら売れたか」が店舗を評価する基準だったかもしれません。そこに「今月、何人のファンを生み出せたか」「顧客との関係をどれだけ長く続けられているか」という基準が加わります。

すると現場の意識も変わります。「今日、何を売ったか」だけでなく、「来てくださった顧客とどんな関係を作れたか」を考えるようになります。

店舗の役割も変わっていきます。売上を立てる場所から、ファン顧客を生み出す場所へ。売上は、その結果としてついてきます。

まとめ

ECと店舗を別々に分析するのではなく、顧客視点で統合的に見る。「初回購入店舗別セグメント」を作って、店舗ごとに顧客数・F2転換率・LTV・平均購入回数を見る。売上ランキングとは違う景色が見えたら、それがその店舗の本当の力です。課題に応じて打ち手を変え、月一で追いかけ続けることで、店舗の評価軸そのものを変えていきます。

この分析のいいところは、特別なツールも難しい統計知識もいらないことです。手元にある購買データから、店舗ごとに集計するだけで始められます。

まずは直近1年分の初回購入データを店舗別に切り出してみるところから。これまで見えていなかった店舗の顔が、きっと見えてくるはずです。